気づけばもうすぐ1年が終わろうとしている。今年1年どうだったか。来年はどんな1年にしたいか。きちんと振り返り、未来に向かうことができたら、きっと素敵な人生を歩んでいける気がしている。daytune.が気になっている素敵なあの人が、どのように一年を振り返り、来年の目標を立てているのかについて、じっくりとお話を聞いてきました。連載「あの人と、1年の振り返りとこれからの話」第二回に登場するのは、F Coffee Roasters代表の高橋文哉さんです。
高橋文哉さんプロフィール:
スペシャルティコーヒーを日本に広めたロースターのもとで基礎を学び、15年以上バリスタとして最前線で活動。一般の方向けのワークショップやコーヒーのプロフェッショナルが参加する競技会を通して、生豆の選定から焙煎、抽出、器具の開発にいたるまで、コーヒーに関わる全てに携わる。また、多くの方へ美味しいコーヒーを届ける為、新しいコーヒー器具の開発やレシピ提供、イベント運営、他業種とのコラボレーションやカフェ事業のコンサルティングなども行う。SCAJ主催のコンペティションでは自身も出場して3度入賞、トレーナーとしては3人のファイナリストを世に送り出し2023年ローストマスターズチームチャレンジでは関東Aチームとして1位入賞。コーヒーをより深く広めている。
現在は焙煎とコンサルティングを主に行いながらコーヒー豆の販売やカフェとコーヒーの情報発信をしている。(instagram: @takahashi__fumiya/)
独立し「世界と繋がっている」感覚を持てた1年
ーーまずはじめに、自己紹介をお願いします。
「F Coffe Roasters」代表の高橋文哉です。コーヒーを通じて「明るい未来を創る」ことを目指し、カフェコンサルタント、スペリャルティコーヒーの専門店運営、イベントへの出展、企業とのコラボレーションなどを行っているほか、最近では永らく構想していたカフェインレスコーヒーの専門店「Kafree-カフリ-」を立ち上げるなど、コーヒーにまつわる様々な事業を展開しています。
元々は長年バリスタとして店頭に立ってお客さんにコーヒーを振る舞っていたのですが、次第にコーヒーの焙煎や店舗の展開、メニュー監修をするなど裏方寄りの仕事が増えていき、現在の活動に至ります。
ーー今年はどんな一年でしたか?
今年は所属していた会社から独立し、自分でコーヒーにまつわる事業を始めた激動の1年でした。今の活動は元々副業として行っていたのですが、専業となり自分の手で事業を展開していく立場になったことで、新しい発見がたくさんあり、学びの多い充実した1年でした。
これまでコーヒーには20年近く携わってきて、多くのお客さんに提供をしていたのですが、イベント企画やゲストバリスタとして様々な場所に呼ばれること、企業や専門家との様々なプロジェクト展開など、本当に様々な形でコーヒーに関わる仕事をするようになり、長く親しんできたコーヒーを俯瞰して見ることができました。
自分が主体となって、様々なチャレンジをしていくことで「世界と繋がっている」という意識を強く持つことができました。結果として、イベントでの映像とコーヒーの演出、カフェインレスブランドの立ち上げなど、これまでの延長線上にない、自分独自の活動を作り上げることができたと感じています。
ーーバリスタ大会で優勝されたことは大きな出来事かなと思うのですが、いかがでしょうか?
実は優勝したこと自体は、自分の中でそこまで大きなことではなくて(笑)。もちろん大変光栄なことなのですが、優勝したことよりも、自分の中では挑戦する過程で得た経験の方が大きかったです。
バリスタの大会は様々な部門が設けられているのですが、僕が参加した部門(SCAJ2023ローストマスターズチームチャレンジ)は、参加者同士がチームを組み、同じ生豆をテーマに応じてチームごとに焙煎〜カッピングを繰り返し、焙煎したコーヒーに仕上げていくというものでした。
初対面の人同士が集まり、チームビルディングをしていきながら皆でひとつの理想的なコーヒーを作り上げていくという内容が、とても魅力的でしたね。
年末はじっくりと「刃を研ぐ」時間
ーー去年の自分と今年の自分で変わったなと思うことは何ですか?
独立したことで、自分の時間をどのように使うか自由に決められるようになったことが、会社員をしていた去年との大きな違いですね。ひたすら寝ていて何もしないのも、ずっと起きていて行動し続けるのも、全て自分次第なんだということを実感しました。
ーー1年の終わりが近づいてきた今、どんなことを考えていますか?
独立をしてから日々新しいことにチャレンジし続けているので、今の時期も1年の終わりが近づいているというよりも、色んなことがどんどん始まり続けている感覚があります。
一方で世間的には年末のため、お付き合いのある企業さんも休みに入るので、少し時間的にも余裕ができ、来年の事業計画を見直したり、今の自分にできる最大値は何だろうかと考えるなど、自分を見つめ直す時間をとっています。
そうやって自分のことをじっくり考える今の時間は「刃を研ぐ」時間というようなイメージです。1年の終わりの時期ではありますが、気持ちは来年や少し先のことなど新しい「始まり」に向かっています。
ーー今の自分の気持ちに合ったdaytune.ブレンドは何ですか?
「Turn on」と「calm down」が好きでよく水筒に入れて持ち歩いているのですが、今この瞬間は「Turn off」が一番気持ちに合っています。
気持ちを切り替えるというよりは、まずは一旦オフにする。そしてそこからまた次に行くか、もしくはオフにしたまま終わろうという時の気持ちに寄り添ってくれるブレンドですね。ラベンダーの香りも癒しを感じることができ、また、レモンバームも一息つく時のノイズにならず、どのようなシーンでも自然に飲めて良いです。
コーヒーで、「世界平和」を目指す。
ーー来年はどんな1年にしたいですか?
今年始めたdaytune.さんともご一緒しているカフェインレス専門店「Kafree-カフリ-」の事業を成長させていきたいと考えています。また、コーヒーに関する様々な活動を行っていくことを通じて、お客さん、プロジェクト関係者、生産者の方々に、きちんと価値を還元できる仕組みを作り上げてやっていきたいと考えています。
ーー来年の楽しみな予定を教えてください。
来年は今自分が手がけている事業を法人化したうえで、東京から世界を繋ぐ新しいプロジェクトを始めていく予定です。こちらは日進月歩で少しずつ、前に進めていきたいと考えています。
また、来年は今年以上に裏方としてコーヒーに関わる仕事が増えていく予定です。引き続きイベント出展やバリスタスクールでの講師仕事などもやっていくのですが、一方ではもう少し視座を上げていき、世界と繋がるための取り組みを増やしていこうと思います。
引き続き色々な活動を行っていく予定なのですが、今はこっち、次はこっちというように、「チューニング」をしながらバランスをとっていきたいと思います。
ーー様々な活動をされている高橋さんにとって、コーヒーはどのような存在ですか?
コーヒーは僕を育ててくれた存在なので、恩返しをしたいという気持ちがあり、若手の育成、大会での審査員、企業や研究者との様々なプロジェクト等を通じて、コーヒーの可能性を広げていきたいと考えています。
ただ、恩返しをしたい存在という訳ではなくて、コーヒーというものは自分にとって「世界と繋がることができるツール」と捉えています。
世界では、日本酒のことを知らないというという人々は多くいますが、コーヒーのことを知らない人っていないんですよね。本当に世界中の人に飲まれていて。
僕自身は英語を話すことができないのですが、それでもコーヒーを介したら世界中の人たちとコミュニケーションを取ることができるんですよね。例えば飲んだコーヒーをきっかけに豆の産地に関する話が生まれたり。単純なコミュニケーションより、深く繋がれている感覚があります。
コーヒーを通じて世界中の人々たちとの繋がりを作っていき、良い形で還元できるような仕組みを作っていきたいです。
例えばケニアの人達はコーヒー豆を生産しているけど、自分ではその豆からできるコーヒーを飲んだことがない人達も多くいて。そういった方々から僕たちがコーヒー豆を仕入れてコーヒーを作って、生産者の方々も飲めるようにするということなどをやっていきたいと考えています。
そうやって、産地や消費国でも同時に雇用と消費を生んで貧困を失くしながら世界平和を目指してます。